光速電神アルベガス・前史

1 着想

 富士山麓にロボットセンターという、総合研究施設があった。そのロボットセンターの所長で青葉学園大学部の教授である水木教授は、六つの力を持つ万能ロボットの設計をしていたが、ある問題に悪戦苦闘して、行き詰まっていた。そのロボットは六種類のコンピューターを内蔵していたが、電源も冷却装置も、整備士が入るための空間も必要なので、六つのコンピューターを直列に並べないといけないので、ロボットの全高は75メートルと巨大になっていた。

 教授は息抜きに席を立つと、窓の外の景色を見た。窓の外には湖があり、その湖の向こうには青葉学園都市があり、その都市の中には、幼稚園から大学までを網羅した超巨大校の、青葉学園があった。教授の娘の水木ほたるが、その青葉学園に通っていた。                             

 教授は娘が友人達と共に、お菓子を分け合って食べている様子を思い出すと、ロボットが三体に分離し、更に分離したパーツのそれぞれが一回り小さいロボットになるのはどうかと思いついた。各ロボットにコンピューターを二つずつ搭載すれば25メートルにまで小型化が出来て、合体した後の身長も40メートルであり、大き過ぎるという程でもなかった。

 三体のロボットはとりあえず、それぞれにアルファ、ベータ、ガンマという、仮の名前を付けた。アルファとベータとガンマが合体した姿は、特に名前を考えてなかったが、設計図の表紙には、とりあえず、αβγ-SUMと書いてあった。

 αにβからの信号が届いたらデンジン・ディメンション、γからの信号が届いたらスペース・ディメンションの回路が開き、βにαからの信号が届いたらスカイ・ディメンション、γからの信号が届いたらマグマ・ディメンションの回路が開き、γにαからの信号が届いたらマリン・ディメンション、βからの信号が届いたらレスキュー・ディメンションの回路が開く仕組みになっていた。

1 解説

 光速電神アルベガスという番組は、1983年、ぼくが小学6年の時に放送されてました。

 当時は、合体しないプラモデルと合体する玩具を持ってて、合体する玩具はアニメとは体形が違っていて、動き方もアニメと違ってましたので、腹と胸を縦に長くして、胸の骨が腹に入って、腹が腰に入って、腰が胸の殻に入るようにした設計図を描いて、更に背中に溝を二本付けましたけど、背中のシャッターが閉じる仕組みや、腕の付け根が溝の底に移動して、更にそこで上下に滑る仕組みを思い付きませんでした。

 今年はネットでゴライオン(Lion force Voltron)の話をしてたら、時々ダイラガー(Vehicle force Voltron)やアルベガス(Gladiador force Voltron)が話題になるので、春頃に、アルベガスの設計図に再挑戦して完成させました。

 今年の12月に、ユーチューブで日本のアニメのアルベガスの1話と2話を見て、二次創作を書き始めました。

 書き始めてから、

頭+胸+腹腰腿+脛=25メートル

頭+胸+胸+胸+脛+脛=40メートル

胸+胸+脛=腹腰腿+15メートル

1頭+1胸+1腹腰腿+1脛=25

1頭+3胸+0腹腰腿+2脛=40

0頭+2胸-1腹腰腿+1脛=15

という計算をしようとしましたけど、未知数が四つで式が三つだと計算が出来ないので諦めて、スタイルが良い玩具を探したら、ダイナマイトアクションの玩具が気に入りましたけど、アルベガスの身長はバラロボットの1.6倍の設定だというのに1.27倍くらいしか無かったけど、腿の長さを足したら1.6倍に近くなるので、合体時に脚部は、腿になる時は腿が引っ込んで、脛になる時は腿が引っ込まないで脛の殻が伸びるという、原作を無視した設定を思い付きました。

2 胸部内殻・腹部外殻

 ロボットの胴体の構造は次のようであった。

 胸部内殻は、前面の板の左右両端から後方に向けて板が生えるU字曲げであった。そして前面の板の上端の中央部分からは後方に向けて頸椎橋という細い板が生えていて、その頸椎橋の後端からは下方に向けて胸椎内板という細い板が生えるL字曲げのテープが生えていた。頸椎橋と胸椎内板の中央部には穴が開いていた。

 ちなみに人間の頸椎骨は胸骨には繋がってなくて、上端が頭蓋骨、下端が胸椎骨にだけ繋がっている。

 胸部内殻の前面の中央部の裏面には溝があって、その溝の中には折り畳まれたマジックハンドが収まっていた。胸椎内板の穴から、コクピットブロックになる飛行機が入って来たら、マジックハンドがその飛行機を掴んで頸椎橋の穴から上に押し出すようになっていた。

 腹部外殻は、内面が胸部内殻外面と同じ大きさで、前面の板は上端にホイールアセンブリが付いてて、胸部内殻の前面を上下に滑るようになってて、その左右の両端から後方に向けて板が生えていて、その板の後端からは内側に向けて短い板が生えて、腹腸肋リップを形成するC字曲げで、その先端は胸部内殻の内面と同じ位置であった。そして腰椎板は胸椎内板と同じ幅で、上端にホイールアセンブリが付いてて、胸椎内板の表面を上下に滑るようになっていた。その腰椎板の左右両端からは、上中下に分割されたシャッターが生えて、腹腸肋リップに繋がるようになっていた。

3 腰部外殻

 腰部外殻は内面が腹部外殻の外面と同じ大きさで、前面の左右両端が後方に伸びて、その先端から更に内側に生える板が腰腸肋リップを形成するC字曲げで、内面は上端にホイールアセンブリが付いてて、腹部外殻の表面を上下に滑るようになっている。

 前面中央部の下端からは、後方に向けてハット曲げの埋没クロッチが生えていて、更にその先端からは上方に向けて尾椎板が生えていた。

 尾椎板の裏面は、上端にホイールアセンブリが付いてて、腰椎板の表面を上下に滑るようになっていた。

 尾椎板の左右両端からは、上中下に分割されたシャッターが生えて、腰腸肋リップに繋がるようになっていた。

 埋没クロッチは胸部内殻の内面と同じ大きさであった。埋没クロッチの上の水平部分は二重になってて、上の方の裏地は固定されてるが、下の方の表地は前後の端にホイールアセンブリが付いてて、合体時に腰になる場合は、下の方に滑り降りて、寛板が左右に滑って開いた隙間を塞ぐようになっていた。

 寛板は、左右に一枚ずつあって、腰部外殻の下部の縁に、ホイールアセンブリによって蓋のようにくっついて、左右に滑るようになっていた。

 寛板は、内側の方はシャッターが引っ込んで四角切欠が出来るようになっていて、後部内側はシャッターが二枚あって、腹になる場合は大きな角切欠、胸と腰になる場合は小さい切欠が出来るようになっていた。

4 胸部外殻

 肩甲殻は左右に一つずつあって、右の肩甲殻は上面、前面、右面、後面だけであり、左の肩甲殻は上面、前面、左面、後面だけであり、それらの内面は腰部外殻の外面と同じ大きさである。

 両肩甲殻の上面は、後方内側に、長さが二段階の角切欠が出来るようになっていて、後面は、内側の半分が上中下の三分割シャッターになっている。そして右肩甲殻の右面と左肩甲殻の左面には、関節窩板がくっつく。胸部外殻は、内面が肩甲殻の外面と同じ大きさであり、胸部外殻の内側で、ホイールアセンブリによって左右の肩甲殻が横に滑るようになっていた。

 胸部外殻は、前面の板の上端から後方に板が伸びて、中央部に穴があり、後端部は左右両側から胸腸肋板が下に伸びていて、中央部からは外部胸椎板が下に伸びていて、外部胸椎板には穴が開いていて、シャッターが閉じるようになっていて、外部胸椎板からは左右に上中下の三分裂シャッターが伸びて、左右の胸腸肋板に繋がるようになっている。

 上面後方は、胸腸肋板と外部胸椎板の間の二か所がシャッターであり、二か所に四角切欠が出来るようになっている。

 そして胸部内殻の頸椎橋の上面を、胸部外殻の上面の裏面に接着する。

 そして胸部外殻の上面の穴に頭部をくっつけ、左右の関節窩板に腕をくっつけ、左右の寛板に脚をくっつけて、三体のロボットが完成する。

5 合体

 搭乗時は背中のシャッターが開いて、コクピットになる小型の飛行機が入ると、胸部内殻の内面の溝に収まっているマジックハンドが飛行機を捕まえて、頭の中に移動させて、再び溝の中に納まる。

 合体時は、三機とも、寛板から腿が切り離されて、腹部外殻が胸部内殻を収納し、腰部外殻が腹部外殻を収納し、そして胸部外殻が腰部外殻を収納する。

 胸になる場合は、肩甲殻が左右に迫り出し、同時に寛板も共に左右に滑り、肩甲殻の後ろの三分割シャッターのうち下の二つが半開きになり、背中の三分割シャッター全てが、下の二つが開いて、同時に寛板の後部のシャッターが引っ込んで短い角切欠が出来る。そして脚部は、腿が脛の中に収納される。

 腹と腰になる場合は、腕を横に広げて肘を曲げて前腕部を上に向ける筋肉ポーズになってから、手首が前腕部の中に引っ込み、上腕部が肩の中に引っ込み、関節窩板が前端のホイールアセンブリによって後ろに滑って、関節窩板の前端が胸部外殻側面の後端まで来たら、90度倒れて背中から肩が出てるような姿になる。

 腹になる場合は、肩甲殻の後部の三分割シャッターが、上中下とも全開になり、胸部外殻の上面後部のシャッターが開いて二か所に四角切欠が出来て、背中の三分割シャッター全てが、上中下とも全て開いて、関節窩板が内側に滑って、関節窩板のホイールアアセンブリが、背中に出来た溝の縁に着くと、溝に引き込まれて胸部内殻の内面を滑って中に入り、更に上方に滑る。

 関節窩板のホイールアセンブリが通るレールは、肩甲殻の右面及び左面の前端から後端までと、胸腸肋板と、腰腸肋リップの縁と、腹腸肋リップの縁と、胸部内殻の内面を水平に走っていて、胸部内殻内面の前端からは、レールが上下に伸びていた。

 寛板は後部のシャッターが引き込まれて長い角切り欠きが出来て、内側はシャッターが引き込まれて四角切欠が出来る。

 そして脚部は腿を収納しないで、脛の殻が伸びて腿を覆って、爪先が上に少し滑る。

 合体時に腿が引っ込まずに脛の殻が伸びるのは、体積が二倍になると同時に、表面積が二倍以下になって放熱の効率が下がらないように、表面積を大きくするためである。

 腰になる場合は、肩甲殻が左右に迫り出し、後部の三分割シャッターのうち、上の二つが半開きになる。同時に寛板も左右に滑って後部のシャッターが引き込まれて短い角切欠が出来る。股の下に出来た隙間は、埋没クロッチの、下の方の表地が滑り降りて来て塞ぐ。

 胸部外殻の上面後部のシャッターが開いて二か所に四角切欠が出来て、背中の三分割シャッター全てが、三分割シャッターの内の上の二つが開いて、関節窩板が内側に滑って、関節窩板の前端が、背中に出来た溝の縁に着くと、溝に引き込まれて胸部内殻の内面を滑って中に入り、更に下方に滑る。

 そして脚部は腿を収納しないで、脛の殻が伸びて腿を覆って、踵のシャッターが開く。

 胸担当ロボットの底面に腹担当のロボットの首が刺さり、腹担当のロボットの底面に腰担当のロボットの首が刺さる。そして胸担当のロボットの脚部が腰担当のロボットの底面の寛板に合体して、腹担当のロボットの爪先が腰担当のロボットの踵の穴に刺さり、両者共々、胸担当のロボットの足の裏に合体する。

6 教材用ロボット

 水木教授は出来上がった設計図を見ながら、予算がどれくらいになるかを考えていた。すると彼の助手兼秘書の朝吹彩子が、設計図を見て「合体する前のロボットは出来が良いので、教材用ロボットとして売り出せるんじゃないかしら」と言った。そして水木教授は合体する前のロボットから、合体機構と武装を外した設計図も描いて、教材用ロボットとして売り出す事にした。それは三分の一を英語でa thirdというのに因んでアサードと名付けられた。

 世界ロボット競技大会の日が近づいた。青葉学園の生徒達は、ある者は水木教授が新しく作った教材用ロボット、アサードをベースに作り、ある者は違う種類の教材用ロボットをベースに作り、またある者は一から自作した。

 その時、教授の娘の水木ほたると、同じクラスの円条寺大作、そして違うクラスの神哲也が、アサードを使ったが、ほたるや大作と同じクラスの熊井五郎は、自作のロボットを作った。

Thaddæa Labonne, née Franque's Ownd

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